2012年4月3日火曜日

シャープと鴻海。

少し前にシャープと鴻海グループの提携のニュースがあったと思います。


ゼミのある期間だったら間違いなくゼミで取り上げられるであろうレベルの

非常にインパクトのある出来事だなあと思ったのでいろいろ調べてみました。


提携の内容は、
・鴻海がシャープ本体の株式を669億の第三者割当増資で取得する(9.9%で筆頭に)
・鴻海精密工業の郭董事長個人がSDP(堺工場の運営会社)の株式の
 46.8%を660億で取得する。

と、おおよそこんな内容だったと思います。

今回の提携のメリットは
・2013年に2000億円の転換社債償還を迎えるシャープの資金面の不安を解消する。
・稼働率が低下している堺工場の稼働率を向上させ減損を避ける。

というのがすぐに分かる部分ですが、他にもいろんな要素が組み合わさっているようです。




その最たるものが

アップルが次に発表するであろう「AppleTV」の受注を得るための生産体制の構築

です。

鴻海はその子会社のフォックスコンでiphone,ipad等の生産を受注し、

アップルの成長と共に成長してきました。

アップルが次なる成長に向けて開発中といわれるTVの生産受注も

当然狙っているわけです。

しかしサムスンをはじめ、競合するライバルがいる。

その中で堺工場の優れた生産体制はアップルへのアピールポイントになるわけです。


さらに、アップルの受注以外の受注においても、

鴻海の目下のライバルであるサムスンに対抗するべく、

大規模な生産設備の獲得は以前から目指していたと言われています。
(一時日立などとも水面下での交渉があったそうです。)





今回の提携はテレビ価格の下落で堺工場を持て余していたシャープと

生産設備が欲しかった鴻海のWin-Winの提携に見えますが、

一応の懸念材料もあります。


シャープからすると、

堺工場だけでなく本体の筆頭株主に鴻海がなったことで、

彼らを無視した開発ができなくなるのでは?という懸念。

さらにAppleTVをもし受注することに成功した場合、

明らかにシャープのTVと競合し、同じ工場で作ったTV同士で

シェアを食い合う(シャープのTVがそこまで売れるかは別として)のでは?という懸念。

また当然ながら技術流出の懸念も拭えません。




さらに鴻海から見ても、

シャープの生産技術はうまくキャッチアップできておらず、

大型液晶の歩留まり率が良くないのでは?という噂があるらしいので、

望んだとおりの生産が必ずできるかはわかりません。






今回の提携をきっかけにもしかするとシャープは

自社ブランドのTV生産をやめるかもしれません。

個人的にはそれでいいと思っています。


なぜならアップルやグーグルのような

ソフトの部分、プラットフォーム構築の部分で強い企業が

生産受託で大差のない品質のTVを作り、

自社の他製品と組み合わせて売り込んできた時に、

シャープのようなハードの技術的強みしかない企業は太刀打ちできないだろうと

思えるからです。


そこと戦って消耗するくらいなら、太陽光とかスマホとか

少しずらしたフィールドで利益を出せるように投資していくほうが

合理的なのではないか?と思ってしまうんです。




いずれにしろ今まで日本企業が考えても実行できなかった形の今回の提携は

後々非常に大きな意味を持ってくるんじゃないかなあと、

ただの学生の身ながら思いました。

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