2012年5月14日月曜日

キヤノンの無人化工場

キヤノンのニュースを決算以外で見たのは久々でしたんで、

それについて書こうかなあと思います。


デジタルカメラの生産工場を「完全自動化」するというのが

ニュースの概要なんですけど、詳細には、

2015年をめどに、デジタルカメラの主力工場である大分キヤノンと

交換レンズの拠点である宇都宮工場で

「完全自動化」のラインを稼働させるそうです。

キヤノンは今までの記事なんかの様子では

セル生産方式から、一部ロボットを取り入れた「マシンセル」方式

に転換をするなど、現社長が特に生産面の革新に力を入れてきた印象

が比較的強いという実感があります。

なので今回もその流れの一つだなあと思いながら、記事を読んでいたんですが、

ひとつ気になることがありました。




記事によると、今回の生産無人化で「コスト競争力を高め」、

ものづくりと研究開発の基盤を日本に残す。とありました。

生産無人化で「コスト競争力を高める」ということは、

それによって人件費が抑えられるということだと個人的には解釈しました。

しかし、後の部分で

「生産管理や成長分野の新規事業部門に移すなどして雇用を吸収する方針」

と書かれていたのです。



あくまでも、個人の感想ですが、浮いた分の従業員を解雇しないで他に回してしまうと

コスト削減の効果は解雇するよりも薄れると思うんです。

それでも「日本の企業らしく」、雇用は守る雇用は守る・・・と執念のように

首を切らないでいれるのは、

ああ、まだやっぱり光学が崩されない技術なだけに余裕があるんだなあと

思いました。


やっぱり技術に比較優位がある企業が残るんだなあと。

それは部品や素材のメーカーに多いと思うんですが、

キヤノンなど光学分野の完成品メーカーは、

完成品メーカーの中で唯一と言っていいほど、

まだ負けないで済んでいる企業じゃないでしょうか。



記事には主力工場が日本に残ることで、関連する部品・素材メーカーが

日本に残り、企画から共同で開発できる強みが活きると書いてありましたが、

同時に、

電子機器の受託製造メーカーに委託するケースが、

競合他社の間で増えているとありました。

すぐに「電機の二の舞」になるとは言い切れませんが、

キヤノン単独で残り続け、国内に囲い込んでも、

競合で外に抜けていく企業があれば、

そこから技術流出の懸念はあるのではないでしょうか?


あるいは今回の生産革新も踏まえ、キヤノンが

ニコンなどライバルに対し、優位性を保ちながら

世界の市場のシェアを奪い続けた場合、

ライバル企業が解雇に踏み切ったら、クビになった人々が

中台韓のメーカーに再就職する可能性はないでしょうか?



そうやって蓄積された流出技術をサムスンとかそこらへんが

しっかり利用して参入してきたとき、

国内に留まり、ある程度の業績を維持することに慣れ切った企業が

国際的な市場で勝てるのかどうか?



そこだけが、目下考えうる光学機器メーカーの懸念なのではないでしょうか。

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